臨床獣医師を続けている年数がそろそろ大学時代の年数に並びそうになってきました。その今、改めて獣医療について振り返ってみると、学生時代のイメージと実際の現場は異なることがあったなと感じます。

学生の頃は、動物たちの健康を守るんだ、命を助けるんだという意気込みが強く、獣医師は“対動物”のイメージでした。動物さんの扱い方、治療方法がわかっていればそれが良い獣医師と考えていました。ただ卒業前に大学の先生から、「獣医師に求められるのは、対人能力だよ」と言われ、その時は頭にはてなマークが浮かんだことを覚えています。そして、獣医療に携わっている今は、その言葉がとてもよくわかります。動物さんたちの様子から、的確に判断することはもちろん重要です。ただし、そのための診察や状況のヒアリング、検査や治療内容を相談する相手は動物さんではなく、そのご家族である“人”です。ご家族の気持ちに寄り添い、お互いに信頼関係を築いていくことが、患者である動物さんにとってベストな選択をしていくためにとても重要だと感じます。

私も入社当初は初めましての人との関係づくりは苦手でしたが、気づけば毎日診察で初めましての応対をしています。まだまだその能力は十分ではないですが、先輩だけでなく後輩たちの応対する姿を見て日々学んでいる毎日です。 獣医師6年目 K.Y